藁にも縋る想いで駆け込んだ
当時28歳。仕事では新入社員の頃から同じミスが多く怒られる日々。常に雑念が頭で巡っており、人の話をしっかり聞けない。忘れ物が多い。人とのコミュニケーションがうまく取れない。空気を読めない発言。頑固で自分のやり方を変えたくない。集中力が続かない。
仕事が出来ないと自己嫌悪し、現場の職人から自分勝手なワガママばかり伝えられ、上司は知らんぷり。挙句の果てに「現場が大変なのはお前のせいだ」と言われるしまつ……。
正直限界でネットで検索して同じような人が居るのか調べてみたら、発達障害というワードに辿り着く。
そういえば昔メディアでたまにADHDとか取り扱ってることがあるけど、自分に該当する項目が多いなと思いつつ発達障害だとは微塵も思っていませんでした。
「まさか自分が?」と疑念を抱きつつ都内のクリニックを予約。決め手はTMS治療を行っていることでした。副作用がなく治療が終わっても効果が切れることがない。そんな都合の良い謳い文句に惹かれ、自分の状況を知りたいのとどんなことをしてでも治したいという思いでクリニックに行くことを決心したのでした。
TMS治療とは
磁気刺激で脳の一部を刺激し脳の働きを正常化する治療法。
うつ病の治療として2019年に承認され、ADHD・ASD(グレーゾーン含む)にも効果があるとのこと。
ただしまだ研究中で私が受けたクリニックの話では10%程度の人には効果が見られなかったそう。
具体的にどんな治療効果があるのか
- ADHD:集中力、衝動性のコントロールが改善される
- ASD:「こうあるべき」という完璧思考が改善。緊張の緩和
- 睡眠障害
- 不安障害・パニック障害
上記はクリニックからもらったTMS治療の説明に記載されてたものをざっくり記載してます。ADHD、ASD、睡眠障害については海外のデータがありますが、不安障害・パニック障害についてはデータは無いみたいです。
診察から治療の流れ
まず診察の前にQEEG検査があります。以下引用文
”人間は、脳の各部から以下のような周波数を出し続けています。
γ(ガンマ)波
β(ベータ)波
α(アルファ)波
Θ(シータ)波
δ(デルタ)波)
これらの脳波が脳のどの位置からどんなタイミングでどのくらい出ているのかを画像にすることで脳の各部位が正常に機能しているかどうかを診断することができます。(引用元:ブレインクリニック/QEEG検査(定量的脳波検査)とは?検査方法や光トポグラフィー検査との違いについてhttps://tokyo-brain.clinic/others/qeeg/5218)”
頭に装置を付けて真っすぐ1点のみを見つめ続け、何も考えないように20分じっとします。
装置の固定具を締め付けたとき、顔がむぎゅっとなってコンタクトレンズが押されて目がゴロゴロするので瞬きが多くなってしまい、スタッフから「瞬きあまりしないで」と注意されてしまいました。我慢してましたが素直に締め付けがきつい事を伝えとけばよかった。
で、検査が終わったらしばらく待ち時間があり先生の診察へ。
QEEG検査は下記画像のとおり。


はじめに私の現在困っている状況(仕事のミスやコミュニケーションなど)を先生に伝えます。
そして先生からはASDの傾向が強いADHD併発グレーゾーンと説明してくれました。
先生の言葉を聞いて「やっぱりそうだったんだ」と安心したのを覚えています。
ADHD/ASDが原因と判明すると毎日自己嫌悪に陥っていたのが少しばかり気が楽になりました。
それでも根本的な部分を治したいのでTMS治療の説明を受けます。
その後何回受けるかについてですが料金はこちら↓

簡易法:前頭葉に照射
標準法:背外側前頭前野を特定し、その方に合ったオーダーメイドの強度で照射
私は簡易法32回を選択しました。効果が出てくる標準的な回数が32回だったこと、標準法との差額が124800円と大きかった為。
この選択は失敗でしたね。まずは少ない回数で始めるべきでした。
効果が全く出なかった場合は金銭的ダメージは少なく済みます。
でも効果を実感したかったし、料金も安くしたいと考えて32回を選んでしまいました。
しかも簡易法は結構適当です。これが効果出ない原因の一つになってるかもしれません。
TMS治療方法について
まず椅子に座り普通に眠ることが出来る角度までリクライニングし、ブランケットをかけられます。
機械からアームが伸びてその先に丸い装置がついており、前頭葉あたりに置きます。
1回テストで磁気を流し、正しい位置に置けているか確認します。
前頭葉がボールペン等で叩かれているような感覚があれば正しい位置となります。
ずれてると全然感覚が無かったりします。
位置調整が終わるとそのまま約20分じっと耐えます。
スマホ見たり眠っても大丈夫みたいですが、ほんの少し動いただけでずれてしまうのでかなり注意が必要でした。
装置を頭に置くだけですからね。がっちり固定出来ればずれる心配無いんですが、子供はじっと出来るんですかね?
1回あたりの料金が高い割にはやり方が適当過ぎる気がします。
ちなみに標準法の詳細は分かりません。また椅子やブランケット等はクリニックによって環境が違う可能性があります。
1日1回なので32回通うわけですが、毎日でも週1でも月1でも通えるペースでOK
4回ごとに先生と面談があり、日常に変化があったか等を聞かれます。
1回だけカウンセラーと話しましたが1番最初のタイミングだったかうろ覚えです。すみません。
治療を受ける年齢層は子どもが圧倒的に多かったです。時間帯によっては20~40代くらいの大人も居ましたが少数派ですね。
結果はどうだったの?
効果ありませんでした
さすがにショックですね。失ったお金が大きいだけに。50万……。
先に書いた通り、全員に効果があるわけではありません。それだけに冷静に判断するべきだった。
後からTMSについて調べるとネガティブな情報がどんどん出てくる。
何とかしたいと焦っていると自分に都合の良い情報しか見えなくなり、冷静な判断が出来なくなります。
ちゃんとしたエビデンスもない治療法に人柱として実験台になったわけです。そもそも私の症状には合わなかった可能性もあります。
一応クリニックに行って良かったことといえば、「自分は発達障害グレーゾーンなんだ」と自分を知ることができたということに尽きます。
自分はこういう人間だから今まで他の人と同じことが出来なかったと理解することで、仕事のやり方にも工夫がしやすくなるし、自己嫌悪に陥ることも少なくなります(無くなるとは言ってません)
もちろん病院に行く前から対策等は自分なりに考えてきました。
とりあえず職場でも家でも常に付箋は手元に置いておく。大事な用事があったら忘れる前にスマホのカレンダーに登録!
さいごに
念押ししますが全員に効果があるわけではありません。
でもTMS治療を否定するつもりもありません。
そもそも発達障害は本人が困っていなければ問題ないわけです。障害ではなく個性という見方もあります。
自分または家族が発達障害かもと思ったらまずは病院で診察を受けましょう。
治療方法については先生と良く話し合って十分な知識をつけた上で検討する。
この記事が私と同じ状況に陥ってる人たちの目に止まれば幸いです。
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